タイトルの通りである。
去年の今ごろ、元カレが結婚した。
前回の投稿で言っていた、ドカン!パート1である。
私と元カレのhさんは社内恋愛で、約3年間お付き合いしていた。
そのことを社内で知っていたのは、
私の同期数人と、hさんと同じ部署のkさんだけだった。
元カレは私と付き合う前に、kさんに色々と相談していたらしい。
1年後には転勤が終わって東京に帰らなければいけない状況だったし、私たちはそこそこ年齢差もあったから。
そこで「考えすぎないで、付き合ってみたら?」と背中を押してくれたのはkさんだった。
私自身も、遠距離中の悩みとか、距離を置こうかと悩んでいるときも、kさんによく相談していた。
いつも、まとまらない私の話を
否定も肯定もせず、見放さずに聞いてくれた。
2人してkさんには、感謝してもしきれないくらい本当にお世話になった。
そして時は2021年10月頭。
まん防が解除されたテレワーク明け、久々の出社。
給湯室でコーヒーを淹れようと席を立つと、kさんの姿が見えたので「お久しぶりでーす」と声を掛けた。
通り過ぎようとする私にkさんは言った。
「…聞いた?」
その含みのある言い方と、何とも言えない表情から、ぼんやりhさんに関することだろうな、と思った。
え、何も聞いてないけど…、ヒヤリ。まさか?
「えぇ、何がですか?」とすっとぼけて聞くと、kさんは周りを確認して
「ちょっとここ(廊下の真ん中)じゃ…すぐ行くから、給湯室で待ってて!」と言った。
言われたとおりに給湯室でコーヒーを淹れながらkさんを待つ。
心の中で、今からされるであろう話を想像して、なんとも言えない気持ちになった。
数分後、給湯室に入ってきたkさんは私の近くに来て、
「hくん、結婚するって」
と教えてくれた。
想像はしていたのに、いざ聞くとやっぱり、凄くびっくりしてしまった。
「え…え!いつですか!?と、とりあえずおめでたい(?)ですね…?」
びっくりしたけど、割とその時は、(へー、そうなんだぁ、お幸せにねー。)くらいのテンションだった。
お別れして1年半が経っていたけど、彼氏おろか好きな人さえできなかった私は「さすがに私もそろそろ頑張ります!(笑)」とか言って、kさんと盛り上がった。
席に戻って、コーヒーを一口含んでゆっくりと飲み込むと、自分の心臓の音に気が付いた。
めっちゃドキドキしている。手も少し、震えている。そして、深いため息が出た。
いや…何、このモヤモヤは…。
今どんな気持ちなんて自分でもまだ理解できていないのに、
このモヤモヤを自分だけじゃ抱えきれなくて誰かに話を聞いてほしかった。
まあでも、むやみに言いふらすような内容でもないし、何より私たちが付き合っていたことを知らない人たちには話せない。
結局、全く仕事に集中できないままその日が終わってしまった。
次の日同期とランチを一緒に食べているとき、"悔しい"が一番近い感情なのかもね?と話した。
私自身彼氏も今いないし、余計に負けても無いのに敗北感感じてしまってるんじゃない?って。
んー、確かに確かに。それに近しい感情もある。
先越されたー!切り替え早!!ムキ―!!みたいな、ポップな感情。
でもなんか、ストンと落ちてこない。
ぐるぐるもやもや、もっとマイナスな感情なんだよな…。
hさんの結婚が悲しいわけではないし、別に嬉しくもない。
好きでも何でもない元カレの結婚に、こんなにショックを受けている自分が気持ち悪くて嫌になった。
意味が分からない。自分で自分の気持ちが分からなくてイライラする。
心が落ち着かないまま生活する中でふと、私の気持ちの変化に気が付いた。
hさんが結婚すると聞いてから、付き合っていた頃の良い思い出ばかりを思い出していた。
一生忘れられないくらい言われてショックだったこと、
初めての遠距離は想像以上にしんどかったこと、
距離を置く前の半年間すごくすごく辛かったことは、
お別れした後に何度も思い出したし、そのたびに(ああ、だから別れたんだよなあ)っていつも思っていた。
過去を振り返った時は、こういうことの方がすぐに思い浮かんでいた。
でも、
付き合った3年間で1度も私に怒らなかったこと、
距離を置きたいと伝えて過ごした最後の期間、私は精神的に結構参っていた時期で、突然泣き出しては数時間止まらない涙を見て、「何もしてあげられなくてごめん」と泣いてくれたこと、
旅行に行って楽しかった場所、美味しかったご飯、よく行った居酒屋。
結婚すると聞いてからは、(ああ、だから好きだったんだよなあ)と思うことを沢山思い出した。
…とはいえ、好きという感情が残っている訳ではないのだ。
私の友達には、結婚している子が多い。
他人だった人と家族になって、支えあって、人生の責任は倍以上になる。
まだ若いうちから、一生を誓える相手に出会って生活しているのは本当にすごい。
でも、別れてからの、自分の人生も好きだった。
ひとりで出来ることが増えて、自分の力だけで新しい人脈を広げることができた。
二輪の免許を取ってバイクも買って、レーシックしたり、痩身エステに通ったり、自分の為だけにお金も時間も使った。
毎週のように飲みに行って、合コンして、たまに旅行に行って、美味しいものを食べた。
とっても充実していて、楽しかった。
何だかひとりでも生きていけそうだ、当分はそれで良いかも、とも思っていた。
お別れする時hさんは私に、「正直別れたくない」「今でも大好きだし、会いたい」「いつかまた会えて機会があればデートしたい」と言っていた。
その印象のまま一切連絡を取らなかったせいだろう。
自意識過剰なのは分かっているけど、たまに(今でも私のこと好きだったらどうしよう)と思うことがあった。
そこでやっと気が付いた。
hさんが結婚すると聞いたとき、
ああ、そっか。これでもう、私のことを好きな人は世界中のどこにもいないのか。
と反射的に感じてしまったんだ。
新しい方と出会って、
食事やデートを重ねて、
お互いを知って、
好きになって、
付き合って、
素を出し合える関係になる
私はその過程が、果てしなく長い道のりに感じてしまった。
大切な人ができるまでの時間を面倒くさがって1人で過ごしていたくせに、
でもどこかで、私のことを好きな人がいるといいなぁと思っていた。
自分勝手すぎて、情けなくて、泣けてくる。
切ないとか悔しいとか、そういう人間っぽくてある意味素直で可愛い感情じゃなかったんだ。
元カレが結婚したことをきっかけに、向き合わざるを得ない現実を見て、
誰にも必要とされていないことに気づいてしまっただけだった。